某テレビ局にあてた日本介護福祉士会の「意見」について。(前編)
先日、某テレビ局で放送されたドラマ内で、介護職員である登場人物が介護現場で長時間労働させられたり、上司にパワハラまがいの行為をされたりという描写があり、「介護職のイメージが不当に悪くなる」ととして日本介護福祉士会が意見を申し述べたという報道がありました。
【月9ドラマでの介護の描写、「配慮を」|医療介護CBニュース】
【ドラマ「いつ恋」に配慮求める意見書 日本介護福祉士会:朝日新聞デジタル】
【月9ドラマの介護現場描写に配慮を 日本介護福祉士会がフジテレビに意見書 – ねとらぼ】
よかったですね、たくさんメディアで取り上げてもらって。
これで介護職のイメージがよくなりますね。
…って、そんなわけないじゃないですか。
ちなみにその日本介護福祉士会の公表した意見書がこちら。
【『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』に対する意見 – 公益社団法人 日本介護福祉士会】
http://www.jaccw.or.jp/news/index.php#t416
(※クリックすると大きい画像を表示します)
正直絶句しました。
言いたいことは山ほどありますが、できるだけ要点を絞ってピックアップしていきましょう。
その1。
『日本介護福祉士会という組織としての意見書に、「私」という個人の所感を述べる意味があるのか?』
回答文の冒頭、
「介護職員の給与は低賃金と言われていますが、かなり格差があると感じています。厚生労働省の発表している調査では、他産業の平均給与と比較すると介護職の賃金は低いと出ていますが、女性ではあまり差がないとも言われています。」
と述べています。また介護職員の賃金に関して、
「どのような事業所に勤務しているのかによっても賃金の違いがでると思いますが、その他雇用 形態や経験、能力などによって給与は違ってきます。私の知る限りでも養成校を卒業して、30歳代で管理職になり、それなりの報酬を得ている介護福祉士はたくさんいます。」
と言及しています。
これはおそらくこの文章を考えた内田副会長の個人的所感と思われますが、直接的な介護場面で出る言葉ならまだしも(それも望ましいとも言えませんが)、データを示すこともなく、「感じています」「言われています」「たくさんいます」と言われてもまったくもって説得力に欠けます。特に賃金格差に関しては「女性ではあまり差はない」などと書かれていますが、差がないからよいということはもちろんなく、他の職種と協働で女性労働者たち全員の労働権を取り戻し、守ることに取り組むべき問題であることは明白です。しっかり「この資料ににこう書かれているように、こういう状況なのです」とデータとともに科学的な説明ができなければ社会的な発言力は増していきません。
【介護職の賃金 他職種とは約9万円の格差 男女差や地域間差も|けあNews by けあとも】
【介護職員の平均年収は全職種平均より200万円以上も少ない!?「介護職員=低賃金」という一般常識を裏付ける各種データの衝撃!|みんなの介護ニュース】
【社会保険審査会 介護保険部会「介護人材の確保関係」(PDF)|厚生労働省】
その2。
『介護現場の労働環境は本当に「そんなに言うほど悪くない」のか?』
労働環境に関しては
「確かにご利用者への介護の質が悪く、また職員の処遇もよくないところはあると思います。ただ、全部の事業所がそうなっているわけではありません。」
と一定の事実を認めてしまっています。
それならドラマで表現されていることだって、あくまでリアルな介護現場の一部を切り取って見せているのだと言われてもしかたありません。そういう介護現場が存在するのを認めていまがら、会は「不当にイメージを悪くしている」と断言する資格はあるのでしょうか。たしかにマスコミの介護職に対するネガティブキャンペーンはかなり強烈と言える面もありますが、ドラマの一場面だけを見て「不当表示」と意見するより、その場面のどういう点が事実とどのように異なるのか、マスコミはもちろん市民に対しても種々のデータを提示するなどして、分かりやすく説明する義務を果たすべきでしょう。
また、
「よくない事業所には利用する側も働く側もしっかり意見を言うなりしていかないといけないと思っています。入職する際も事業所の内容や職員の処遇、労働環境などをよく確認して頂きたいと思います。」
と言われても、どこでどうやってその情報を手に入れることができるでしょうか。
介護施設に就職しようとするときに法人や事業所のウェブサイトはチェックするでしょうが、第三者評価などまで目を通す就活生は少ないでしょう。またネットや人づての口コミも正確性に欠け、介護職に就いたことのないひとにとって正しい情報を選びとるのは容易ではありません。確認できたところで、実際にその職場がブラックかどうかということは、働いてみないと分かりません。男性と女性、ベテランと新人、有資格者と無資格者等々、あるひとには働きやすいが、あるひとには働きにくいということもあるでしょうし、何より職場の雰囲気を事前の見学や面接時だけで把握するのは業種にかかわらず至難の業です。逆にアルバイトや介護現場実習である一定期間その職場で過ごすことができれば、自ずと職場の雰囲気も見えてきます。ただ、バイトや実習で入ったところに常勤として勤務できるかどうかはまた別問題です。
これらの問題に対応するためにも、職能団体は複数の現場を経験できるような実習プランの提案や市民向けの現場体験ツアー、企業や学校等への出張講座、ソーシャルメディアの活用、他業種への働きかけなどを通して、現役の福祉職と彼らが活躍する現場とその養成校やその学生、それらに興味をもってもらう対象の一般市民を結ぶためのハブにならなければいけないのですが、そのための活動が圧倒的に足りていません。
そういった面を踏まえて、ではどうやったら介護職に就きたいと思ってもらえるかということを丁寧に考えていく必要があります。日本介護福祉士会では「介護のイメージアップ戦略等調査研究委員会」なるものを設立し、報告書もまとめていますが、あまり表で見かけません。ただ、イメージアップ戦略ばかり先行してしまっても、実際の介護労働環境よりそれこそ不当によく見せかけることになってしまっては逆効果です。実施した研究・調査結果などは概要版と詳細版に分けてわかりやすくまとめ、プレスリリースとしてできるだけ多くの業界・団体に配布・PRした上で、オープンデータとしてそれらを有効的に使ってもらえるよう相手に応じた提案をするところまでひとまとめに提供したいところです。そうすればデータを各所で検証してもらって、それに対するフィードバックをもらうこともできますし、内部だけでちまちまやっているよりデータを活かせるというものです。職能団体たるもの、至らない部分があれば、「どうすればそれを改善できるか」「改善するために私たちはここまでやっている」ということまで組織としてしっかり言及していく、そうでなければ専門職を組織化している意味をなさないのではないでしょうか。
【介護のイメージアップに関する事業 – 公益社団法人 日本介護福祉士会】
要点をまとめるといいながら、全然まとまらなかったので後編につづく!
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[…] SCAのふくしばです!「今週のフクシ・エントリ!」メルマガ抜粋版では、メルマガで紹介したエントリをひと月分まとめてお届けします。※先月までの「今週のフクシ・エントリ!」まとめはこちら《2/1~2/7》 -気にするエントリ!【施設職員の高齢者虐待2年で倍増 | 共同通信 47NEWS】【高齢者虐待 経験の浅い職員、目立つ加害 – 産経ニュース】【養介護施設従事者等による高齢者虐待の公表 |厚生労働省】2015年の高齢者虐待に関する統計発表がありましたが、各メディアは家族介護者より施設職員による虐待の増加を取り上げる傾向が高かったように感じました。やはり、介護を専門的に提供する場ですら虐待が行われるということに対する危機感というか、重篤感のようなものを社会全体が抱いているからなのかもしれません。もちろん数的には家族・親族からの虐待件数の方が断然多いわけで、「介護の社会化」と「家族養護の原則」のはざまで、けっきょく苦しめられているのは当の高齢者とその家族であると言えるのではないでしょうか。【生活保護相談者の土地売却で見返り 収賄容疑で越谷市元課長を逮捕 – 埼玉のニュース – 47NEWS】【熊本市:生活保護費1190万円過大支給 過少も1078万円 背景に担当職員不足 /熊本 – 毎日新聞】【生活保護費引き下げ違憲訴訟、裁判官を忌避申し立て 法務省出向経験は「公正さに疑い」 – 産経ニュース】最近また生活保護受給者バッシングで盛り上がってしまっている公的扶助界隈ですが、こういった事案が起きるとやはり生活保護に携わる福祉事務所の怠慢さや不十分さを指摘せざるを得ません。圧倒的に弱い立場である生活困窮者の生活をしっかりアセスメントできないようなケースワーカーが野放しにされ続けているという現状を何とか変えていかないかぎり、生活困窮者支援策も絵に描いた餅。私たちソーシャルワーカーは市民の権利を護るために、そろそろ行政から福祉事務所機能を奪取するために行動を起こす時期に来ているのかもしれません。【<フォーカス 23区の予算案>世田谷区 全出張所で福祉相談対応 – 東京のニュース – 47NEWS】【児童の暴力急増、多発の小学校に元教員ら配置 大阪:朝日新聞デジタル】【総合支援窓口:全国初、札幌の法律事務所が開設 高齢者・障害者向け、税理士らと提携 /北海道 – 毎日新聞】…などと言いつつも、相談窓口としてソーシャルワーカーをうまく取り入れている自治体もちゃんとあるわけです。スクールソーシャルワーカーの大増員をはじめとしてなかなか存在感を示せていなかった子ども家庭支援分野でかなり予算が投入されつつある中、福祉に関わる現場全体で連続的・包摂的ソーシャルワークの有効性をしっかり実証していきたいところですが、司法や労務の専門家にお株を奪われている現実も直視する必要がありそうです。《2/1~2/7》 -気になるエントリ!【暴力団やめたら就労支援を 14都府県の警察など連携:朝日新聞デジタル】福祉ってこういうところにこそリソース(人員配置や経済的支援)を割くべきという最たるパターンです。ギャンブル依存で経済的に困っているひとや子どもを虐待してしまう親の支援など、「それって行政が救わなきゃいけないの?」と言われがちなひとにこそ、手厚く支えていくことで長いスパンで見たときの社会の成熟度が上がるというのはソーシャルワーカーなら肌で感じているはず。社会的インパクトをいかに市民感覚で語り、行政に認めさせるか、腕の見せどころです。【日本で最も自殺の少ない町の秘密を解き明かす|J-CASTトレンド】ともすれば、ネガティブな面ばかりに目が行きがちな私たちですが、「ストレングス(強み)」に着目することこそソーシャルワークの原点であるはず。そんなことを思い出させてくれるような書評エントリです。「どうやったら自殺者を減らせるか」から「どんなコミュニティだったら自殺しないひとを増やせるか」へ発想を転換することによって、ポジティブなイメージを引き出したいという心意気を感じました。ぜひ読みたい一冊。【CAEBV:娘奪った病気知って 感染判明まで1年超 声優・松来さんの両親、難病指定訴え – 毎日新聞】【慢性活動性EBウイルス感染症という病気にかかった松来未祐さんと父から(勝手に)教わったこと。- Togetterまとめ】普段はどんな病気や障害でも必要性があればできるだけ分けへだてなくピックアップしたいと考えて記事を書いているのですが、これだけは個人的に抑えがたい思いがあり、どうしても取り上げたかったのでどうかご容赦を。どちらかというとこの病気自体の啓発というよりは、ある難病で亡くなったひとりの女性を取り巻く一連の社会の動きを通じて、私が一個人として、一当事者として、またソーシャルワーカーとしてどう感じ、どう考えたのかを語りたかったという部分も大きいのですが、お読みいただければ幸いです。——————————————————————————————————————《2/8~2/14》 -気にするエントリ!【障害者配慮、4月から義務化 差別解消法、低い認知度 - 共同通信 47NEWS】【差別解消法4月施行 障害者の「窓口」整備遅れる 準備自治体1% – 47NEWS(東京新聞)】【障害者虐待防止法改正を求める要望| 日本障害者協議会】【「障がい」表記は差別の解消に有効なのか?/栗田季佳 / 教育学|シノドス】今週のトップは、障害者の差別解消に関するエントリをまとめて。今年4月から施行される予定の障害者差別解消法ですが、政府の対応の遅れもあり、全国的に実施体制づくりが法整備に追いついていない状況です。障害のあるひとに対する支援はもちろん、支援者の権利擁護や地域のマインド醸成までやることはいろいろあるのに、ちょっと、いや、だいぶ心配です。当事者も支援者もみんなで協働して声を上げていく必要がありそうですね。【沖縄の子ども30%が貧困 全国の2倍 就学援助も周知足りず – 沖縄のニュース – 47NEWS(沖縄タイムス)】【くらしの明日:私の社会保障論 子どもの貧困「見える化」=湯浅誠 – 毎日新聞】【子どもの貧困:堺市が食事無償提供する食堂を来年度設置へ – 毎日新聞】【子どもの貧困解消へ超党派議連 政策提言へ月内にも発足:朝日新聞デジタル】【子どもの貧困:堺市が食事無償提供する食堂を来年度設置へ – 毎日新聞】【「子ども医療費無料化」でも病院に行けない貧困層の現実|生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ|ダイヤモンド・オンライン】子どもの貧困対策が中央や地方で本格的に動きはじめています。就学援助や子ども食堂など、次世代のわが国を担うことになる子どもたちを何とか支えていこうという機運が高まっているのは良いことです。ただ、それを一時的なブームで終わらせず持続性のあるしくみづくりにつなげることこそ、私たちソーシャルワーカーの使命でもあります。時代の潮流をつぶさに把握し、その時代にあったアクションを愚直に展開していく。そういう術と力を身につけたいものです。【薬物依存症:専門治療に初の診療報酬 支援策進展に弾み – 毎日新聞】【クローズアップ2016:診療報酬改定案 「地域・在宅」医療を重視 – 毎日新聞】【アルコール依存症の専門病院、各都道府県に1カ所以上:朝日新聞デジタル】【進む地域での医療・介護のネットワーク化:朝日新聞デジタル】今年度は介護報酬が改定されましたが、次年度は診療報酬の改定が控えています。依存患者への支援やかかりつけの役割づけなど、地域包括ケアの担い手の一職種であるソーシャルワーカーにも深く関わる改定になりそうです。今後ますます重要になってくる医療と福祉の連携において、医療職と患者、各専門職との橋渡しや地域コミュニティでのネットワーキングなどソーシャルワーカーが担うべき役割もたくさんありますので、しっかり存在感をアピールしていきたいところです。《2/8~2/14》 -気になるエントリ!【狛江で「フードバンク」設立へ 生活困窮者支援、60代夫婦が二人三脚で立ち上げ】【多発性硬化症(MS)の女性、自らの症状を自撮りシェアする|ガジェット通信】【希少難病の悩み、理解を江戸川・患者設立のNPOが1周年 – 47NEWS(東京新聞)】【「青梅市民の歌」で健康体操 介護予防に保健師ら振り付け – 47NEWS(東京新聞)】【13歳の少年が「ネットいじめ」の啓発動画を制作 リアルなメッセージにネットで称賛の声 – ねとらぼ】【ヒーロー、義援金集めに奔走 川崎の中学生が被災地支援|カナロコ(神奈川新聞)】【災害時に命を守るポーズを考案 SFC防災社会デザイン研究会がぼうさい甲子園で優秀賞を受賞】【防災力の向上へ若手消防士提言 – 47NEWS(河北新報)】【日本一かっこいい介護福祉士も登場!介護のイメージアップツールを発行 兵庫県|けあNews by けあとも】今週はソーシャルアクションのエントリがたくさんあったので、まとめて大放出。そして気になったのは、その中にソーシャルワーカーのアクションが全然見当たらない…寂しいです…。どうかピックアップしたアクションに刺激をもらって、みなさんのアクションに活かしてくださいね!——————————————————————————————————————《2/15~2/21》 -気にするエントリ!【ハンセン病:元患者家族59人、国家賠償提訴 熊本地裁 – 毎日新聞】【ハンセン病:無理解の根絶へ家族の声に耳を…解説 – 毎日新聞】【ハンセン病:家族、重い口開く…集団提訴「差別知って」 – 毎日新聞】【ハンセン病「特別法廷」問題 弁護士ら意見交換 : 読売新聞】【3/20(日)開催 SCAスタディ&アクションツアーVOL.1「ハンセン病資料館・多磨全生園」】来月SCAではソーシャルワーカーや人権・差別問題に興味のあるひとを対象にハンセン病資料館でのスタディツアーを開催する予定なので、タイムリーなこれらのエントリをトップでご紹介。有効な治療法が確立されてからも隔離政策が続けられ、その違憲性を問うた国賠訴訟で患者側が権利を勝ち取ったのが2001年。しかし、彼らを取り巻く差別環境はなかなか改善されず、今日まで来ています。「ハンセン病の歴史は、差別・人権回復の歴史」。障害者差別解消法の施行が迫る中、改めて差別・偏見について考えるよい機会として捉えたいと考えています。【87歳を投げ落とし殺害容疑、元職員逮捕 川崎3人死亡:朝日新聞デジタル】【介護職員の9割が2交代制 労組調査:朝日新聞デジタル】【川崎入所者殺害:介護施設の選び方 一つに「透明性」重要 – 毎日新聞】【施設での虐待防止、「自治体が指導徹底を」|医療介護CBニュース】取り上げるべきかどうか迷ったのですが、あえて。もちろん、今回の事件はいくつかの要因がからまりあって起きた出来事で、多分に事件を起こした本人の資質の部分も大きいのだとは思うのですが、果たしてそこだけに押し付けてよい問題なのかといえば、おそらくノーだと思います。行政は監視の強化を訴えていますが、おそらくそこがテコ入れ点ではなく、介護職の働く環境そのものにこそ問題の本質があるのではないでしょうか。上記で取り上げた某会のコメントに対して「クサいものにフタをするな」という批判もあるようですが、まったくの的外れとも言えない気がしています。【障害ある子ども支援強化|ロイター】【児童虐待防止で改正法案提出へ 厚生労働省 NHKニュース】【障害者の4人に1人貧困 慶大調査、一般の2倍 :日本経済新聞】【東京新聞:聴覚障害者、選挙が身近に 候補者演説など「要約筆記」に報酬OK:政治(TOKYO Web)】障害児の支援の充実をはかるため、障害者総合支援法も改正の動きがある一方で、子ども虐待対策強化のために児童福祉関連法が改正へ。成人しても障害とともに生活を継続していくことを考えると致し方ない部分なのかもしれませんが、本来は子どもの支援は子ども施策の枠内で支援できる方がソーシャル・インクルージョン的な視点で言えば望ましいような気もします。いずれにせよ、経済面や社会参加の面など各所で障害のあるひとたちの権利が常にしっかり守られるように、私たちソーシャルワーカーも声を上げつづけていく必要がありますね。《2/15~2/21》 -気になるエントリ!【「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由 | 駒崎弘樹公式サイト】【認可外保育施設の37%、国の基準満たさず 健康診断や避難訓練:日本経済新聞】【待機児童問題は脅威的な世論になっていない(おときた駿)|BLOGOS】【子育て貧困世帯:20年で倍 39都道府県で10%以上 山形大准教授調査 – 毎日新聞】【大阪)保育士の「卵」に支援金 箕面市、市内就職条件に:朝日新聞デジタル】【保育士試験「地域限定」取りやめ 県議会で黒岩知事 新年度から全国共通に – 神奈川のニュース- 47NEWS】今週は、このニュースがネット界隈でいちばんのホットトピックだったかもしれません。「とにかく何とかして産めよ増やせよ!」と一生懸命に旗を振る政府と、そうは言っても「実際に育てるのは私たちなんだから、もっといろいろと助けろよ!」と反旗を翻す子育て世帯や保育士たち。子どもがこれから生きていく未来をどうしていくのか、決めるのは子育てをしているしていないに関わらず市民一人ひとりであり、その声を束ねて、つなげて、大きくして、届けさせるのが、私たちソーシャルワーカーの役目なのです。そのために、私たちSCAも誰もが全力でアクションできる社会環境づくりに尽力いたします!※おまけ先日某テレビ局で放送されているドラマで、介護の仕事に就いている登場人物が過酷な環境で働かされている表現が出てくるのは不当に介護職のイメージを悪くするとして日本介護福祉士会(の副会長)が意見を表明しました。【【CBニュース】月9ドラマでの介護の描写、「配慮を」】で、その「意見」というのが何と言いましょうか、なかなかにツッコミどころが満載だったので、せめてこれくらいは職能団体として考えて発信してほしいという願いを込めつつ、さくっとツッコませていただきました。よろしければご笑覧下さいませ。ちょっと長文なので前後編に分かれています。【某テレビ局にあてた日本介護福祉士会の「意見」について。】http://fukushigo.info/shiba_tsubu/944 (前編)http://fukushigo.info/shiba_tsubu/949 (後編)——————————————————————————————————————《2/22~2/28》 -気にするエントリ!【高2女子自殺:福島県教委 部活いじめと因果関係認定せず – 毎日新聞】【不登校の要因は金品要求 同級生に賠償命令、青森地裁弘前支部 – 産経ニュース】【14歳少年を暴行と強要容疑で書類送検 岩手中2自殺:朝日新聞デジタル】【熊本・高1自殺:「すべてをうやむやに」 学校調査委報告書に母親不信感あらわ /熊本 – 毎日新聞】【いじめで摘発・補導331人 認知の数は減らず:朝日新聞デジタル】【いじめ防止で啓発カード 児童生徒に意識や行動促す|教育新聞】【ピンクシャツでいじめ防止呼び掛け 熊本YMCA:ホッとニュース – 47NEWS】今週はいじめ関連のニュースが多かったのでまとめて。いじめによる子どもの自殺に関わる裁判も多く取り上げられていますが、司法の場ではなかなか被害者や遺族が救われない判決も多いのも気になります。法律や指針など一定のルールに照らして考えたときに被害者感情などがどれだけ判決に斟酌されるかと言えば難しいことは言わずもがなですが、それにしても…という判断も多くて胸が痛みます。最終的に子どもや残された家族が少しでも報われる結果になれば良いのですが。ネガティブなエントリだけでなく、客観的なデータやポジティブな取組みも合わせてご覧くださいませ。【増加する「非正規公務員」とはなにか?/上林陽治/地方自治総合研究所|SYNODOS】【最新!これが「非正社員の多い」トップ500社 1位イオンは24万人超、日本郵政が2位に | 企業ランキング – 東洋経済オンライン】【リストラ誘発しかねない再就職助成金 支給要件厳格化へ:朝日新聞デジタル】【「同一労働同一賃金」経済界は賛同表明も本音は困惑 – 産経ニュース】【長時間労働:24%「過労死ライン」超…厚労省調査 – 毎日新聞】【平成27年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表】雇用関連のエントリをまとめて。子どもの貧困対策が盛んに叫ばれるようになってきましたが、そもそも子どもの貧困というのはひいては親の貧困なわけです。業務内容が同じなら非正規雇用と正規雇用の賃金を統一化しようという動きはまっとうではありますが、制度を大きく変革するときには、どうしても立場の弱い者がその影響をもろに受けやすいということも理解しておかなければいけません。ただ、正規雇用でも膨大な非正規雇用社員の穴を無理に埋めねばならんとなれば労働者としての適正な雇用が保たれるとは言えず、そのあたりどうバランスを取っていくか、雇用行政や就労支援の現場も難しい舵取りを迫られそうです。【同性カップル権利法可決 イタリア上院 – 産経ニュース】【性的少数者も医療や福祉を受けやすく 支援団体が啓発冊子 – 産経ニュース】【「同性愛は個人的な趣味」って本当? 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